人工言語野

ことば感

カッコ悪いこと

その1からのつづき

わたし自身やお客さんが本当のところ何をしたいのかよくわからなくて、とりあえず新しくしたいとか、とりあえず格好よくしたい、なんていう時が一番失敗する確立が高くて、効果もあまり上がりません。効果というのは、デザインに費用をいくら支払って、どれくらいの儲けが出るかという一番大事な部分です。

さて、こういう時は一人でやるときも誰かと一緒にやるときも、あるいは別のデザイナさんと仕事をするときも本当に困ってしまいます。デザインなんて所詮はカッコよさでしょ!と思えたうちは全然問題ないのですが、商品ですからすべてに理由があって、こういう理由でこういう問題があるから、これをこうすればここが良くなる、とか便利になる、という視点に立たないと全然うまく行きません。

グラフィックデザインは、心象やメッセージ、あるいは分かりやすさなどを伝える「ことば」としてきちんと機能しなてくはならなくて、そこには理由と伝える対象が必ず在ります。
理由や問題点、対象がはっきりすると解決方法が見えてきて、そこではじめて、ゴールとなる「絵」が見えてくるのですが、いくらたっても理由が見えてこなかったり、たまに問題点がものすごくズレていたりすることがある。
そういうときに、改めて日本語を使って整理したり、図解をいれて見やすくしたり、ということをやる必要が出てきます。うまく考え方を整理出来て、それを言葉として何を訊ねられても即答出来る仕事だと失敗することはまずありません。

「整理して問題点を見つけて、解決方法を考える」というおそらく本当に普通過ぎることなのですが、最終的な「絵」に行き着くためにこれはもう絶対必要です。絵が出てくるまでに脳の言語野が猛烈に働いてくれれば、不思議なもので大体うまくいきます。

表現方法は違いますが、日本語を使って伝えることも、絵を使って伝えることも本質的には同じなんだなぁ、と思います。
でも、こういうドンくさいやり方しか出来ないというのはデザイナとしてはちょっとカッコ悪い様な気もします。 本当のところ、黙って座ればぴたりとあたる、みたいな感じで一発で絵が浮かべばスゴイカッコいいし、あれこれ考えなければ時間もかからない様な気もします。



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