人工言語野

三年目

売れる人工言語?

約1年半の更新停止期間を経て、公開から3年が経過しようとしています。
1年目でやった様に、Overtureのキーワードアドバイスツールを使いますと「人工言語」の検索回数は「1522」と表示されました。3年前の10倍です。
そして3年前、Googleで検索したときヒット件数は「3,600件」でした。よく憶えています。それが今では「2,060,000 件」。もちろんこの中にはプログラム言語としての「人工言語」が多く含まれていますが。

さて、日本人の言語設計者は案外多いのだと最近知りました。また、興味をもっている人も思っていたよりもずっと多いのかも知れません。

これまでに「人工言語の本を出しませんか」という連絡をいただく都度「売れないと思うけどなあ…」という私の反応に編集の方は「知られていないことだから逆に売れると思う」と言われます。
たしかに雑学としては面白いのかも知れません。例えば、知られていない珍妙な動物の図鑑が平積みになっているのを見ると、間違っているのは私なのかもしれないとも思います。

でも言語学の知識を持っているわけでもないし、このサイトも情報やツールを集めて提示するというスタンスなので、ことさら面白くしようというつもりはありませんし、なにより一般ウケするように面白くする才能があんまりありません。なので今は辞退申し上げている次第です。
それから仕事で書籍出版に関わったことがあるのですが、執筆って生半可な気持ちじゃできないですね。
「ホームページの更新」レベルじゃどうしようもない。

ところで一般に売れるのだったら、タイトルも「お笑い人工言語」とかにすればよいのでしょうか。
「テリー・伊藤」著みたいなスタンスで、こんな世界があった!みたいな。知的なアプローチをしないといけないのなら、「創作言語設計指南書ー既存言語之巻」などにして、ゲームデザイナや小説家を目指している層に売り込む、あるいは、設計者そのものに焦点を当てて「設計者100人〜言語デザイナ編」なんてどうでしょう。
と、軽口は置いておいて。

キーワードアドバイス

さて、専門はウェブコンテンツ管理営業系なのでちょっとその側面から書かせていただきます。

人工言語サイトに多くの人を招きたいのなら?

「人工言語」という言葉で検索している人は「プログラム言語として検索している」「すでに人工言語の存在を知っている」の二種類だということです。(多分。恐らく。限りなく)
前者は省きます。
問題は後者。
この人たちはなんらかの理由で「人工言語」について知ったか、あるいはすでに興味がある人です。

この層にアピールするのであれば、ページ中やタイトルや見出し(<title>や<h1><h2>)に「人工言語」「創作言語」などの言葉をできるだけ使いましょう。検索エンジンプログラムは、使われている言葉の回数や比重、見出しの内容をけっこう重視しているのです。(やりすぎるとダメなんですけど…)
つぎに、リンクページを作って、同じ趣旨のサイトにリンクを設けてください。

なにが問題か?

そして次に気にかけることは「人工言語」という言葉を世の多くの人はまだ知らないという事実です。
それは、モザンビークにある「シャイシャイ」という町の様です。「シャイシャイ」という町を知らなければ、検索はされません。
いくら「シャイシャイ」とサイトに書いても全然無駄なわけです。特に固有名詞はテレビや雑誌で公表されない限り、まず検索対象にはなりません。

「シャイシャイ」に興味を持ちそうなのは誰?

でも例えば、「暑い国で一人で邪魔されずに過ごしたい」「ちょっとワイルドにアフリカ旅行」「日本がODAやってるアフリカの町」であれば検索される可能性はぐっと拡がります。

想像力を膨らませて、サイトに興味を持ちそうな人をイメージしてください。学者タイプですか?ビジネスマンタイプですか?アーティストタイプですか?そして、その人は何に興味がある人ですか?

内容をこれに合わせる必要は全くありません。でも、もし内容を知ってもらいたいと思ったら、たまに考えてみてください。

ネットでは8割以上の人が、ある目的を持って、なにかを解決したくて検索エンジンを使っています。そして、その目的以外の事柄には興味も示しません。

このサイトも一時は「ICO」というゲームのヒロイン「ヨルダ」で検索した人たちが沢山来ました。その人にとっては、該当ページを見たらもうそれでこのサイトは用無しです。
別に人工言語に興味があるわけじゃないので当然ですね。ただ、その中の1%〜2%の人たちだけが、「なんだこのサイトは?」と興味を持ってトップページにやって来ます。
マイナーな内容であることは間違いないのですから、興味をもってもらうには、そういう人たちに親切な設計にしなくてはいけません。

孤島で慎ましく?

そう。そういう考えもあります。
扱っている内容がエンターテインメントでないのなら、沢山の人に訴えるよりも、一部の好事家だけに来て貰えばいい。
ところが、実はそうでもない。
その好事家も同じネット利用者なのですから、行動様式は同じなのです。見にくかったり、読みにくかったり、意味が一瞬で理解出来なければスグにサイトを出てしまう。

複数のサイトを運営している人なら、サイトに初めてアクセスした半分近くの人が1ページ見ただけで、それも3秒以内に去ってしまうことをアクセスログを通じて知っています。
それは書店で平積みされている表紙を見て、瞬時に手に取るか取らないかを判断するのに似ています。
そして、多くの人はトップページではなく、検索エンジンで引っかかった内部のページにアクセスしてくる。
サイトの内容はそこで判断されてしまうのですから、各ページに適切な説明、そのサイトがどんな内容か、なにを提供しているのかを伝えられた方が両者にとってずーっとトクなのです。

サイトで何かを伝えるのであれば、言いたいことを分かりやすく親切に伝える「おもてなし」の気持ちがないと成功はしません。見たい人だけが見ればいい、というスタンスは通用しなくなってしまいました。

これは、企業サイトも個人サイトも全く同じですね。
「こんな丁寧なサイトなら、内容もちゃんとしているだろう」そんな風に人は直観的に感じるからです。

人工言語設計は趣味であろうとも、コミュニケーションの道具ですから、そういう部分でもよりよいサイトが増えることを期待しています。

(み)
2006.10.01


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