初めに、神は天地を創造された。
地は混沌であって、闇が深淵の面(おもて)にあり、
神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。
「光あれ。」
こうして、光があった。
In the beginning God created the heavens and the earth.
Now the earth was without shape and empty,
and darkness was over the surface of the watery deep,
but the Spirit of God was moving over the surface of the water.
God said, "Let there be light." And there was light!
1 Vas ordi zagu_win Zalnu_y' ahlun ve ze_lie.
2 Nan-nakh ze_y' ang-skav'me ya_ghav, ve zurjn aus balkai khovl, ve aloena_y' Zalnu_len tvainevan aus a_vai.
3 Te pagnin Zalnu_y': Leien knas^. Te le_vin knas^.
解説:
zagu_win | 動詞zagwinの完了現在形・三人称単数 |
nan-nakh | nan enakh「さていっぽう〜であった」の省略形 |
ang-skav'me | 形容詞ang-skav「形のない」+接続詞ve「〜と」の音便 |
khovl | 名詞khovaの第二形容詞形khovloの属格単数 |
aloena_y' | <alau-na_y'「侍る-天女」:ヘブライ語またはラテン語の「精霊」を意訳したもの |
tvainevan | 動詞tvaininの不完了過去・受動・三人称単数 |
原文はイスキュア古文書分類番号 5の11他に見られ、帝国最晩期(紀元3〜4世紀)あるいは帝国崩壊直後に 記されたもの:おそらくはラテン語聖書から の翻訳であろう。
あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかもねむ
小倉百人一首・柿本人麻呂:クシュカ語訳
aiole kai reilie vilg zaltumnen
du_nal ve zaulu_ hosleies v'u_i
解説:
古典クシュカ語の韻律は音節の長さ(量)に依存し、長音節(ー)と単音節(^)の組み合わせによって構成さ
れる(比率は単音節×2=長音節)。
最小単位は長音節×2(もしくは長音節+単音節×2)で、これを「脚」とする。4脚で1行、2行でひとつの歌(短詩)となる。長歌は短詩の連鎖によってつくられる。上記の例では、
ー^^|ーー||ーー|ーー||^
ー^^|ーー||ーー|^^ー||^
と、末尾で破格になる典型的な「後期宮廷様式」を採っている。したがって音読する場合は、
{ } アイオロ カイレイ { } リエヴィルグ ザルトゥム
{ネン} ドゥーナルヴェ ザウルー { } ホスレイ エスヴー
{イ }
の如くに区切って詠まれたい({}は吸気のための短い切れ目をあらわす:したがって前句後半は後句前半から連続して詠まれる)。
上記詩句をできるだけ逐語訳すれば、「長く、遥かなる峰に棲める鳥の垂らす尾羽根が如く、私は(常に)枝垂れている:そして独りおまえは眠るのだ、私の下で」とでもなろうか。(クシュカ語の短詩の多くは、神仏や自然現象を一人称とする謎かけになっている:ここでは、「私=夜の闇」という答を聴衆が自ら推測して鑑賞せねばならない)。
aiole | 第二形容詞「長い〜」の副詞形 |
reilie | reiya「尾羽、(馬の)尻尾」の対格複数 |
hosleies | 動詞hoslinの接続法現在・能動態・二人称単数 |
zaulu | 第二形容詞zaulo「独りで居る〜」の副詞形 |
v'u_i | vo u_i「私の下で/下に/下の」の省略形 |