人工言語野

金色語(仮称)

アンケート

設計者、綾波使いさん
言語名:金色語(仮称・以下金色語とします)

アンケートと翻訳の概要についてはこちらをお読みください

 

金色語の名前の由来・意味を教えてください

同人音楽アルバム「7thMoon」中の曲名からです。

設計に際して参考にされた言語はありますか?

ヨーロッパっぽい言語にするということで、文法の基本ベースはラテン語/古典ギリシャ語としています。

その他、参考にした、またはしている言語といえば、フランス語(部分冠詞等)、フィンランド語(格の種類)、ヘブライ語(態構造)、タガログ語(焦点マーカー)をはじめ、幾つもの知りもしない言語からアイディアを貰ってきています。

金色語を作り始めたのはいつ頃でしょうか。

2002年2月9日、ということになりましょうか。

始められた経緯は?

「7thMoon」中の曲『金色ナリ我ガ姫ノ月』ですが、この曲には作詞作曲者により、ヨーロッパ語風な歌詞と、その日本語対訳が与えられています。
アルバムを聞いた綾波使いが言語の出自を問い合わせたところ「適当だ(笑)」と伺ったので「それならちゃんとした文法を与えてひとつの言語に仕上げてみよう」と発奮したのがことの始まりです。

金色語の特徴・基本コンセプト(考え方)を教えてください。

  • 対格類型であること。
  • 複数種類の格による絶対分詞構文をもつこと。
  • 冠詞があること。
  • ほとんどの「形容詞」は独立品詞ではなく、動詞であること。
  • 名詞や関連品詞が、名詞の数や格により語形を変えること。
  • 個々の名詞が、名詞クラスの所属を変えることで意味を変えること。
  • 名詞のクラスは冠詞や指示詞、分詞の語形にて表示されること。
  • 焦点マーカーをもつこと。
とかでしょうか。
他にも挙げれそうな特徴はありますが、何分、まだ設計中で文法に揺れがありますので、今後どうなるかは(笑)。
基本コンセプトは、初期は 「ヨーロッパちっくな系統不明言語」のみだったのですが、設計中に欲望が広がり、今では上記に加えて「私が良いと思った文法は可能な範囲で採り入れる」という肥満言語と化しています。

基本文字数、表記方法、現在の単語数を教えてください。

古典時代から現代にかけてはラテンアルファベットを修飾記号無しで使用しています(という妄想言語史を考えてます)。
したがって、大文字小文字の区別を除けば、ラテンアルファベット採用当初は古典ラテン語と同じ23文字、現在はそれに3文字(j,u,w)を加えた26文字となっております(予定です)。 ラテンアルファベット使用以前の文字も考えなくもありませんが未定です。その場合は「線文字B」ライクな音節文字とするでしょう…。

金色語設計の最終的な目標があれば聞かせてください。

目標は二つあります。

1)言語史を、わたしに出来る範囲/密度で設計すること。
単に現代金色語(仮称)を設計するだけでなく、その言語がどのような言語変化過程を介して今に到ったかも作りたいものです。 どこまで手に負えるかは不明ですが。

2) 現代金色語(仮称)を用いて、翻訳や創作を行うこと。

2.1) 翻訳や創作という作業自体が楽しいですが、

2.2) せっかく作った言語を使わないでどうするとも思ってますし、

2.3) 個々の単語にも歴史や意味範囲があるわけですから、翻訳/創作という作業の過程で、個々の単語にひとつひとつ、歴史と意味を与えていってやりたいです。

2.4) 言い替えると、翻訳や創作を行いながら、辞書を作っていくというスタンスでしょうか。

制作手順(文法・単語生成・など)を教えてください。

具体的な単語生成には入れていないので、文法のみの話になります。

決まった手順というものはありませんが、 「可能な範囲で実在の言語に取材し、 興味を持った/必要に思った範囲で言語理論に取材し、 そこから大切だと思ったことや良いと思ったことを、しようがなしに採り入れる 、嬉々として採り入れる」 というところでしょうか。

制作で大変なこと、難しいと思うことはなんでしょうか?

強いていうなら、現代金色語(仮称)に色々盛り込んだおかげで、妄想言語史の辻褄を合わせるのが大変といえば大変かもです。
でもそれとても楽しくてしようがないんですけどね。

金色語を習得するには、どれくらいの時間がかかり、どの様な勉強方法が向いていると思いますか?

すみません、一切不明です。当言語は言語習得の難易度についてまったく考慮を払っておりませんです。

どの様な表現形式、使われ方に向いていると思いますか?

言語とは、ちゃんとできていればいるほど汎用性が高いと信じております。散文に、誌に、科学論文に、政治演説に。
まあ確かに和歌は作りづらいかもしれません。

言語を作る上でのアドバイスを求められているとします。なんと答えられますか?

先の制作手順で述べたことをそのままを推奨します。作り手の視野が狭い程、出来てくる言語も相応のものに納まってしまうでしょう。 すくなくとも世に実在する言語をまずある程度調査されることをお勧めします。決して特定の地域に偏ってはいけませんです。西ヨーロッパだけとか。

金色語以外にも制作した言語、制作中の言語があれば教えてください。

制作中ですらないのですが、可能ならば、20世紀アメリカの恐怖小説家H.P.ラヴクラフトが創造した一連の「クトゥルー神話」群、これにたびたび登場する「ルルイエ語」に文法と語彙を与えて一人前の言語にしてみたいです。 「金色語(仮称)」よりは需要が多そうな予感が。(笑)

綾波使いさんにとって、言語・言葉とはなんですか?

時間や空間を越えて他人に影響を及ぼすことができ得る「呪文」でしょうか。

どうもありがとうございました。

 

設計者プロフィール

綾波使い。[Website : Rubbish JNetHack]
ソフトウェア技術者。現在、36歳だったり名前だけの役職を持ってたり。

言語的なプロフィールとしては、母語日本語、高校では英語で何回も赤点を取る。数年前からとある創作ゲームにある「神与の武器」にかっこいい名前をつけたくてラテン語を勉強し始めたのがこの道の始まり…だったのかも。

Copyright (C) 綾波使い All Rights Reserved.
このページに掲載する金色語(仮称)に関する全ての権利は言語設計者に帰属します(但しオリジナル歌詞の権利を除く)。転載・配布等はご遠慮ください。

 

編者より
このサイトを作る上で、日本人設計者のサイトを見つけることが初期の課題でした。金色語のページを見つけたのは、Googleで検索をかけていた時です。サイトのかなり深いところにあるページで、恐らくトップページを見ただけでは全く分からなかったと思います。歌がきっかけになったと云う記述を見つけて、一番最初の日記から2時間くらいかけて読んだ記憶があります。同人音楽アルバムということで、一般のお店では手に入れることが出来ないのですが、ネット上を検索すれば、まだ『金色ナリ我ガ姫ノ月』に出会える可能性があります。とても綺麗な曲です。



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