8:制作手順(文法・単語生成・など)を教えてください。
表意と表音の区別:
表意と表音の両しくみに記号を兼用しますが、区別して用い、一時に両方を機能させることはありません。ふつうは、それぞれ母語で読みながら表意のしくみで伝え、固有名詞など、音声を伝える場合のみに表音記号を区別して用います。
表音のしくみ:
発声に必要な主な音声器官とその使い方を想いうかべやすい形の記号およびそれらを変化させる記号を組んで、「発音の仕方」を見て分かるように記録します。人類に可能な、どんな音声でも必要に応じて詳しく合理的に表現します。固有名詞はなるべくオリジナルの発音で表記し、共通に伝わるよう図ります。(音声記号のマニア・創造者から、世界で最もパワフルな表音法の一つだとの評が届いています)
表意のしくみ:

単語・造語:

記号(字母)は、同じ正方形に収まり、複数を重ね合わせたときに互いに邪魔しあわない単純な形に整理されています。
  形が単純なので、ほとんどの字母は手で象ったり、宙に描いて伝えることができ、それらが手話として働きます。
単独の字母は、その形から連想しやすい基礎イメージまたは機能を持ちます。
伝わりやすい手話を基に文字の形を決めた場合もあります。
各字母には、その形やイメージと共鳴しやすい一音節の名前があり、音声でも記号を呼び出すことは可能です。
ひとつの記号が多手段にリンクして記号の記憶を保たせ、場合に応じた最適手段での伝達を可能にします。
                         
複数の字母を同一平面上で重ね合わせて、それらの意味を合成する、または合わせた形でなにかを象る「重ね文字」の方法で造字・造語し、それらを連ねて熟語も構成します。
                         
例:
:主となる大切なものごとのイメージがあり、代名詞の構成にも使われる字母です。
単独の記号は、文中の主語の位置を示す文法記号です。
重ね文字の手話では、組み相手の記号を「胸の前」の位置で示します。
(手話は、肩の前で親指で前方を指す):前
(手話は、肩の前で親指で後方を指す):後
:存在
上の記号からつぎのように重ね文字が造られます。
×}(手話を組むと、胸の前で親指で向かう側を指す仕草):「あなた」を意味します。
× }(手話では、親指で自分の胸をさす仕草):「わたし」を意味します。
{ ×} (象形文字): 「頭」の意味です。
にさらに、×(人)}(メンバー)と組むと: (チーフ・構成員の頭)、
そしてさらに(固・定)× (所)}(土地)と組むと:(王様・土地の頭)などの文字となります。
文法:
・ 語順の自由:
主語・述語・目的語などの語順は自由です。日常語と異なると使いにくいですし、相手と順が異なると知れば、文化の相違にも気遣えます。
動詞・述語の見分け、語群や文節の関係が小さな記号で単純に区別でき、語順は違っても意味を受け取れます。
・ 文の種類の見わけ:
ふつうの叙述か、依頼・命令・質問・呼びかけ・感嘆など、他のだれかに働きかけている表現なのかを文頭ではっきり示します。
これらがあるので、状況によっては、日本語同様に主語なしの文章も、単語だけの文章も成り立ちます。国際間での手話交流を想定するので、単純明快な表現を親切とみなします。
・ 情報整理:
3種類の括弧を、ときには字母も組み入れて多様に使い分け、文中文や会話体、省略文、表音と表意の識別などに用います。情報量は多く、しかもコンパクトな略字・略語の構成、固有名詞の分類(人・土地・河川など、なんの名前か、音声・意味どちらに基づくか)を加えいれた簡潔な表記、既成の字母のイメージを抜き去って、新しい仮記号に作り変えるなど、既成の言語には無い機能ももちます。
また、重ね文字自体が意味の要素を集めて表現されているので、言語全体が情報整理しながらネットワークする感じです。
・ 基礎記号だけで伝える場合:
慣れると手話でも4〜5の重ね文字の同時表示が可能ですが、音声記号や、盲人用の盛り上げプリントや象った手を触れる触覚伝達では、重ね文字の一時表示は不可能です。また、現在のEメールでも基礎文字しか発信できません。そんな場合、「重ね」を示す接着剤記号を間にはさみながら伝え、受信者が合成して重ね文字を想像します。